医師の中で最も数が多いのは内科医です。普通は具合が悪くなったとき、最初に診てもらう診療科目ですから、患者数も最も多くなります。内科医は基本的に体の外側から診察し、もっぱら投薬によって治療を行ないます。それだけでは手がつけられなくなったときは、外科医にバトンを渡すことになります。
外科医は手術が主な仕事と言ってよいでしょう。手術は患者の体に大きな負担をかけるため、できるなら避けたほうが体力を温存できます。そのため外科医は「すぐに切りたがる」といって批判されます。しかし外科医から見ると、病巣が小さい早期のうちに手術してしまったほうが、治りが早く結局は負担が少ないと言うこともできます。
こうした治療方針をめぐって、内科医と外科医が対立することもあります。手術は外科医の専門分野という常識も、最近では変わってきています。たとえば内視鏡の進歩により、メスで開腹手術をしなくても、体の外側からマニピュレーターで患部を切ったり焼いたりすることができるようになりました。小さなガンであれば内科医が手術で治療でき、患者の負担も以前より格段に軽くなっています。
ただし現在でも重症になると外科医の手術が必要で、そのために技術の研鑽は欠かせませんし、手術だけでなく抗がん剤などの知識も重要になります。内科と外科は敵対する関係ではなく、協力しあって治療に力を尽くすのが理想であり、多くの病院ではそうした態勢が整っています。